米国労働統計局(BLS)は5月12日、4月の消費者物価指数(CPI)を発表した。前年比は3.8%で、2023年5月以来の高水準。前月比は0.6%で、市場予想と一致したが、前年比は予想の3.7%を上回った。CNN Businessの報道によると、エネルギー価格が単月のインフレ上昇分の40%に貢献しており、主因は2月に米英連合がイランに対して軍事行動を起こした後の原油価格への衝撃。すでに縮小していた利下げ観測が、さらに先送りされる可能性がある。
データの詳細:コアCPIが加速、新鮮な野菜と果物は16年で最大の単月上昇幅
4月CPIの主要数値:
総合CPIは前月比0.6%、前年比3.8%(前回の3月は3.5%前後)
コアCPI(食品とエネルギーを除く)は前月比0.4%、前年比2.8%(3月は前月比0.2%、前年比2.6%)
エネルギーは前月比3.8%で、4月の総合CPI上昇幅の40%を占める
生鮮の野菜と果物は前月比2.3%で、このカテゴリで16年ぶりの最大の単月上昇幅。主因は冷蔵輸送のためのディーゼルコスト上昇
家賃/住宅は前月比0.6%で、3月の2倍のペース(前年の政府閉鎖によるデータ収集の調整が一部影響)
より重要なシグナルは「実質賃金がマイナス転化」だ。4月の年率換算のインフレ調整後の平均時給の伸びが初めてマイナス圏に入り、2023年4月以来のことである。労働者の購買力にとっては、賃金の伸びがインフレを追い付くには不十分だ。
市場の反応:ダウ先物が下落、10年債利回りは4.43%まで上昇
CPI発表後、株式市場の先物が急速に下落した。ダウ先物は18ポイント下落、S&P500先物は0.3%下落、ナスダック100先物は0.75%下落。10年物米国債利回りは4.43%まで上昇し、FRBの見通し(道筋)を市場が再評価したことを反映している。
CME FedWatchによると、先物取引のトレーダーはFRBが2026年の1年間を通じて利下げをしないと見込んでいる。これに先立ち、ウォール街のアナリストのGoldman SachsとBank of Americaは、今年の利下げ回数の予想をそれぞれ下方修正していた。
今回のCPI上昇を押し上げたコアの要因はエネルギー(全体の40%)だ。2月末に米英連合がイランに対して軍事行動を起こした後、原油価格は何度も急騰し、4月には落ち着かなかった。同時期のCNBC報道では、米国原油が100ドルを再び上回り、Brentも103ドル付近で推移している。イラン停戦協議は「危うい」状態だ。原油価格が目立って下落するまで、エネルギー主導のインフレは今後のCPIの主導変数のままだと見込まれる。
暗号資産とヘッジ(避難)資産へのシグナル
チェーンニュースの観察:高インフレで利下げが先送りされる環境は、暗号資産市場への影響が二面性を帯びている。ひとつは、金利が高止まりする局面では、投機的なリスク資産のバリュエーションが抑えられやすいこと。もうひとつは、「インフレが貨幣の購買力を侵食する」という、BTCや金などのヘッジ資産の長期的な議論の土台があり、実質賃金がマイナス転化したという指標が「ドル現金を保有する機会費用」を意識させる物語を強めていることだ。
BTCは足元で8万ドル前後での値動きとなっているが、今回のCPIデータ後は短期的に株式市場と同様の圧力を受ける可能性がある。一方で中長期的には、FRBがよりタカ派を維持せざるを得ない状況になれば、むしろ「BTCはインフレのヘッジ」というテーマの追い風が続く。投資家は2つの流れを切り分ける必要がある。短期は株・債券との連動、長期は通貨(マネー)に関する物語だ。
今後追跡できる出来事には、5月末までのFRB複数の当局者の発言トーンがタカ派寄りに変わるかどうか、6月のFOMC会議でのドットチャート更新、米イラン停戦の進展と原油価格の行方、そして米大統領川普によるCPIデータとFRBの道筋に対する公開の反応などが含まれる。
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